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更新日:2023年9月19日
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県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
今年の夏は、全国的に記録的な暑さが続き、8月の平均気温が観測史上最も高くなるなど、これまでにない酷暑となりました。本県においても、7月下旬以降、連日気温の高い日が続き、「熱中症警戒アラート」の発表回数が、制度が始まって以来最多となるなど異常な暑さに見舞われたところです。これに伴い、県内において熱中症により救急搬送された方の数は、9月10日時点で1,064人と、過去最多の搬送件数となりました。
このような中、県では、気温の上昇や「熱中症警戒アラート」の発表等に応じて、県民の皆様に、こまめな水分補給や屋内での冷房の適切な利用を呼び掛けるなど、注意喚起に努めてまいりました。
具体的には、テレビやラジオ、新聞等での周知はもとより、県ホームページやSNSによる情報発信、郵便局やコンビニエンスストアの協力による啓発チラシの配布、市町村防災行政無線等の活用要請など、関係機関と連携しながら、あらゆる方法で取り組んできたところです。
特に、学校における対応につきましては、熱中症が懸念される5月以降複数回にわたり、県及び県教育委員会から注意喚起を行ってきたところですが、7月下旬には、米沢市内の中学生が帰宅途中に熱中症の疑いで搬送され、その後亡くなるという大変痛ましい事案が発生しました。お亡くなりになられた方と御家族の皆様に対し深く哀悼の意を表します。また、8月下旬には、山形市内の中学校において体育祭の練習を行っていた生徒13人が熱中症の症状を訴えて救急搬送されるという事案も発生しました。
これらを踏まえ、県教育委員会において「熱中症事故の防止に向けた緊急会議」を開催するなど、市町村教育委員会、県立学校及び私立高校に対し、子どもの命と健康を守る観点から、熱中症事故防止の更なる徹底を要請したところです。
今後につきましては、この夏の教訓を活かすとともに、熱中症対策の強化を目的とした改正気候変動適応法も踏まえながら、異常な暑さから県民の命と健康を守るための取組みを、市町村や関係機関と連携して進めてまいります。
東北農林専門職大学につきましては、優れた技術と経営力、国際競争力を身に付け、農業・森林業のリーダーとなる人材を育成するため、昨年10月に文部科学大臣に対して設置認可申請を行っておりましたが、去る9月4日に認可をいただきました。来年4月の大学開学に向けて、大きく前進したところであり、これまで御支援、御協力をいただきました多くの関係者の皆様に改めて深く感謝を申し上げます。
早速、入学志願者の募集を開始したところであり、学生の確保に向けて引き続き県内外の高校生等に対して本大学の魅力をしっかりと発信するとともに、開学後の円滑な大学運営のための準備や、校舎・附属施設の建設、最上地域の市町村・関係団体等と連携した学生・教員の生活環境整備など、ハード・ソフト両面から開学に向けた準備を着実に進めてまいります。
本大学が、県内はもとより、東北ひいては全国から学生、研究者及び農林業経営者が集い交流する拠点として、本県はじめ東北、日本の農林業の発展の大きな力となり、さらには「やまがた創生」「地方創生」につながるよう、また、地域の皆様に愛される魅力ある大学となるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。
我が国の経済につきましては、緩やかに回復しております。
本県の状況についてみますと、個人消費につきましては、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したことによる旅行需要の回復や、祭り等各種イベントが通常形式で開催されたことなどを背景に、サービス消費を中心に回復の動きがみられるなど、持ち直しております。鉱工業生産は、パソコンなどの半導体関連製品の受注減少の影響などにより、足踏み感がみられます。雇用情勢は、あらゆる産業分野において深刻な人手不足であり、有効求人倍率が高い水準で推移しております。
このように、本県経済につきましては、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しているところであります。
一方で、エネルギー・食料品価格等の物価上昇が続いており、県としましては、国内外の情勢や県民生活・企業活動への影響を引き続き注視するとともに、全国知事会などを通して政府の対応を求めつつ、市町村とも連携しながら、必要な対策を迅速に進めてまいります。
今年の夏は、県内各地で8月の平均気温が観測史上最も高くなるなど、記録的な高温少雨となりました。その後も平年より気温の高い日が続いており、一部の農作物への影響が見られるとともに、畜産関係の被害が顕著となっております。
水稲につきましては、例年よりも早めの刈取りを推進しており、作業が本格化しているところです。高品質と良食味を確保するため、今後も、適期内の刈取り完了と適正な乾燥調製を徹底してまいります。
果樹につきましては、りんごなどに果実の日焼け等の影響が見られますが、「シャインマスカット」を始めとしたぶどうが収穫期を迎えており、食味の良い果実が出荷されております。また、西洋なしや柿などでは、一部地域で開花期の低温の影響が見られたため、ばらつきはあるものの、果実肥大は概ね平年並みに進んでおります。野菜につきましては、アスパラガスやニラ、えだまめ等において、一部地域で収量低下等が懸念されます。りんどう等の花きにつきましては、高温の影響が一部見られるものの、秋彼岸の需要期に向けて出荷が行われております。
県としましては、「農林水産業における高温・少雨の影響に係る対策会議」を立ち上げる等、農作物への影響等について実態把握に努めているところであり、適切な管理が行われるよう、引き続き技術指導を徹底するとともに、必要に応じて支援を検討してまいります。
県立新庄病院は、10月1日の新病院開院に向け、今年3月に建設工事が終了し、その後、医療機器等の搬入、新体制での業務プロセスの確認、入院患者の皆様を旧病院から新病院に円滑に搬送するためのリハーサルなどの準備を入念に進めているところです。
昨日18日には、開院に先立ち、新病院において、医療・福祉関係者、地元自治体の関係者等が参集した開院記念式典及び県民を対象とする内覧会を開催しました。その際も、多くの皆様から新病院の開院に期待する声をお聞きしたところであります。
新病院では、最上地域初のヘリポートを備えた「地域救命救急センター」を設置して高度な救急医療を提供するほか、専門の医師を配置し、がんや糖尿病など生活習慣病への対応を強化します。
さらに、「総合患者サポートセンター」を設け、入院手続きや退院後の療養環境、介護・福祉サービスの利用などを含めた一連の相談に対応するほか、医療や健康に関する情報発信なども行うこととしております。
このように医療機能の充実を図ることにより、県立新庄病院は、将来にわたって最上地域の皆様の命と健康を守り支えてまいります。
この度、全日本空輸株式会社より、上期ダイヤに引き続き、令和5年10月29日から令和6年3月30日までの下期ダイヤ期間も5往復に増便することが発表されました。
増便の継続により、首都圏との往来の利便性向上が図られるのはもちろんのこと、新型コロナの5類移行後、コロナ禍前の日常や人流が戻りつつある中で、国内線の効率的な乗継ぎや国際線接続路線の拡大等が図られることは、国内外との交流拡大、県内経済の活性化にとって追い風になると考えております。
期間増便の継続を機に、5往復の通年化など庄内空港の路線拡充が図られるよう、地元自治体等と連携し、一層の利用拡大に取り組んでまいります。
県内において、野生鳥獣が人里に出没するという事案が増加しております。特にツキノワグマの目撃件数は1月から8月末までに428件と、平成15年以降2番目に多い状況となっており、人身被害は、8月末時点において過去最多の4件、農作物被害は、昨年同時期に比べて8件多い31件が確認されるなど、今年は例年以上にクマの行動が活発となっております。
このような状況を踏まえ、県では5月24日から6月13日までの期間にクマ出没注意報を、また6月14日から8月31日までの期間にクマ出没警報を発令するなど、県ホームページやテレビ、ラジオ等を活用し、市町村と連携を図りながら人身被害防止に向けて注意喚起を行ってきたところです。また、農作物被害の防止を図るため、各地域での電気柵等の設置や捕獲活動への支援も行っているところです。
さらに今年の秋は、クマのエサとなるブナの実が、県内全域で凶作となることが見込まれており、今後もエサを求めるクマの人里への出没や被害の発生が懸念されております。
県としましては、引き続き市町村などの関係機関と連携し、人身被害防止に向けた注意喚起や農作物被害対策への支援を行い、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
コロナ禍を経て社会経済活動の正常化が進む一方で、人口減少の加速や物価高騰の長期化などが、県民生活や地域経済に大きな影響を及ぼしております。
このような状況において、足元の課題へしっかり対応しながら、デジタル等の技術革新や人々の多様化する価値観など、新たな時代の潮流を捉え、県民の皆様とともに、未来を見据えた県づくりを力強く推進していくことが重要であります。
こうした考え方のもと、来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、このたび「令和6年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。
具体的には、まず、「第4次山形県総合発展計画」の現行の実施計画が令和6年度に終期を迎えることから、目標指標等の達成に向けて取組みを強化するとともに、未だ残る新型コロナの影響や物価高騰の長期化といった県民生活・地域経済へ影響を及ぼす喫緊の課題に的確に対応してまいります。
さらに、未来志向の県づくりを推進するため、4つの視点、『県民の安全・安心な暮らしの確保』、『県民一人ひとりの希望の実現・総活躍の促進』、『産業・企業の活性化と未来を見据えた成長力の強化』、『地域に活力をもたらす国内外との交流の拡大』を重視して施策を展開し、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現を目指してまいります。
今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和6年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。
提案いたしました議案は、令和5年度山形県一般会計補正予算(第4号)など、20件であります。
今回の補正予算案につきましては、学校における熱中症対策や、地域経済の基盤となる人づくり・DXの推進、物価高騰による影響を緩和するための支援など、本県が現在抱える様々な課題に対応するため編成したものであります。
第1に、危険な暑さから子どもの命と健康を守るため、県内の中学校・高等学校等における体育館・柔剣道場等での熱中症対策として、運動中の定期的なクールダウンが可能となるよう、可搬式冷房機器の導入を進めてまいります。なお、体育館等は災害時に地域の避難場所としても指定されている所が多いので、可搬式冷房機器は、災害時においても有効に活用されるものと考えております。
第2に、「子育てするなら山形県」を推進するため、低出生体重児の成長発達や健康管理に配慮した母子健康手帳の副読本である「リトルベビーハンドブック」を作成し、妊娠・出産・子育てに対する不安感の解消に努めてまいります。また、乳幼児を抱える方が県庁にお越しの際に、安心して授乳やおむつ替えができるよう、県庁1階ロビーに県産木材を使用した授乳室を設置いたします。
第3に、地域経済の基盤となる人づくりやDXを推進するため、東北公益文科大学が行うベンチャー育成の取組みへの支援や、GIGAスクール構想に基づき、県立高校のインターネット接続環境の整備を図ってまいります。
第4に、新型コロナウイルス感染症対策を推進するため、県立学校や庁舎等における空調設備等の整備、トイレの洋式化、手洗い場の自動水栓化のほか、県立病院における必要な医療機器等の整備を引き続き進めてまいります。
第5に、長引く物価高騰への適時・適切な対応が急務であることから、燃油価格等の高騰を踏まえた低所得世帯における冬季の灯油購入費等の臨時的な上乗せ支援や、迷惑電話防止機能付き固定電話機への買換え促進キャンペーンの展開、農業者等に対する物価高騰等への支援を行ってまいります。
また、産業・観光の持続的な発展に向けて、中小企業者や観光事業者が取り組むDX推進等への追加支援を行うとともに、私自らが米国やタイに赴いてトップセールスを行い、県産日本酒等の販路拡大やインバウンド誘客の拡大を働きかけてまいります。
第6に、社会資本整備の着実な推進を図るため、土木・農林関係の公共事業のうち、当初予算を上回る国庫の内示を受けた事業について、事業費を増額いたします。
この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、110億8,300万円となり、今年度の累計予算額は、6,974億1,600万円となります。
旅館業法施行条例の一部を改正する条例の制定につきましては、旅館業の譲渡及び譲受けの承認を受けようとする者から手数料を徴収するためのもの、東北農林専門職大学条例の設定につきましては、令和6年4月に開学する東北農林専門職大学を設置するためのものであります。
山形県教育委員会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
なお、令和4年度一般会計及び公債管理特別会計など10特別会計、並びに流域下水道事業会計など6公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。
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