ホーム > 県政情報 > 山形県の紹介 > 山形ものがたりトップページ > いいながめ|山形の自然編 > 蔵王の樹氷
更新日:2021年1月18日
ここから本文です。
山形ものがたり YAMAGATA'S STORY
いいながめ山形の自然編
Zao’s rime
青空に純白の衣、暗闇に七色のドレス。
昼夜で多彩な表情を見せる極寒の自然が生んだ絶景、奇跡のスノーモンスターたち。
ロープウェイ山頂線と樹氷
開湯は、今から1,900年以上前の西暦110年と言われ、高湯温泉、最上高湯とも称された蔵王温泉。湯煙と硫黄の香りに包まれる温泉街のメインストリート「高湯通り」は江戸時代から続く300年の歴史があります。最奥に須川温泉神社が鎮座し、共同浴場(上湯・下湯・川原湯)や由緒ある旅館やお土産店が軒を連ね、温泉情緒たっぷりの風情豊かな雰囲気を今も漂わせています。
蔵王権現を本尊とするお山として、また温泉郷としても、蔵王は古くから多くの人で賑わいました。大正末期に蔵王温泉スキー場が開設され、さらにリゾート化が進むと、一気に国内外に知られる観光地に発展しました。
そして、もうひとつ、蔵王を世界的に有名にしたのが、スノーモンスター(学術名:アイスモンスター)とも呼ばれる「樹氷」の存在です。
真冬の早い日暮れ後、温泉街の近くにある蔵王山麓駅からロープウェイで樹氷高原駅へ。そこで特別仕様の雪上車に乗り込むと、「樹氷幻想回廊」ツアーのスタート。外気温は氷点下ながら、今最もホットな樹氷原ナイトクルージングです。
出発してすぐに、暗闇のなかから、群居する白い巨人たちの姿が現れます。その様子は、まるで絵本の中、異次元の世界に迷い込んだようでもあり、厳寒の自然がつくり出す造形の不思議さに圧倒されます。
蔵王温泉大露天風呂
樹氷のライトアップは、樹氷高原駅からさらにロープウェイを乗り継いだ地蔵山頂駅周辺でも見学することができます。七色のカクテル光に浮かび上がる樹氷群パノラマ。大きいもので5mを超し、一体一体が違う表情を見せる樹氷の幽玄さを、こんなに間近に、しかも誰もが安全に体験できるのは、世界で唯一、蔵王だけ。日本夜景遺産にも認定されています。
東北地方の奥羽山系では、蔵王のほか、八甲田山、八幡平・森吉山、吾妻山などの山域で樹氷を見ることができます。
蔵王に樹氷ができる理由は3つ。シベリアからの強い季節風が多量の過冷却水滴と雪を運ぶこと。氷や雪がつきやすい常緑針葉樹アオモリトドマツが自生していること。そして、樹氷となる木々が埋没しない適度な積雪量であること。これらの自然現象が奇跡的に揃い、唯一無二の絶景を生むのです。
しかし、マイナス15℃にもなる厳冬期の山頂付近にしかできないため、その姿は長い間ベールに包まれていました。地元ではマタギなどが「雪の坊」と呼んでいたそうですが、樹氷の名でその存在が全国に知られるようになったのは大正時代に入ってからのこと。
気軽に見学できる環境が整った今でも、天気が不安定な冬は、急に視界が利かなくなって見られない日も。これもまた樹氷をつくり出す自然の厳しさなのです。
樹氷のライトアップ
夜の幻想さに対して、好天に恵まれた青空に映える白銀の樹氷も、雄大さでは引けを取りません。ロープウェイ車窓からの広大な樹氷原の空中ビューに、思わず歓声が上がります。
昼と夜、光と影。神秘とロマン。その時々で異なる表情を見せるスノーモンスター。スキーやスノーボードを楽しみながら、古湯と温泉街散策を加えて、蔵王の白い季節が私たちを誘います。
一方で、蔵王は冬以外の3シーズンも爽やかな空気、山の緑、可憐な高山植物、錦綾の紅葉を満喫できるマウンテンリゾートとしても注目されています。登山、トレッキングはもちろん、樹氷高原駅の周辺には、眺望デッキにテラス席、木陰に揺れるハンモックなどのリラクゼーションスペースも登場。
「樹氷の蔵王」は、四季折々の魅力を年々増幅させています。
<取材協力>
蔵王ロープウェイ
百万人ゲレンデ上部の「百万人テラス」
格安共同湯「上湯」「下湯」「川原湯」
古くからの湯治場の名残、素朴な共同浴場が温泉街に今も残っています。洗い場もなく、ただただ純良な温泉だけが木の湯船に蕩々と掛け流しされています。それは逆に贅沢の極み。樹氷見学の後で、トレッキングの疲れを癒やしに、ぜひ一風呂いかがでしょう。
お問い合わせ
蔵王温泉観光協会
〒990-2301 山形県山形市蔵王温泉708-1 電話番号:023-694-9328
「上湯」「下湯」「川原湯」
通年営業/6:00~22:00
入浴料金/大人200円 小人100円