更新日:2023年9月7日
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【とき】平成27年4月15日(水曜日)15時30分~16時00分
【ところ】南陽市えくぼプラザ中会議室
【団体名】グラッティテュード(Gratitude)(南陽市)
【出席者】グラッティテュード加藤代表、グラッティテュードの活動を支援する皆さん6名
知事、子育て推進部若者支援・男女共同参画課、健康福祉部障がい福祉課、置賜総合支庁産業経済部産業経済企画課観光振興室ほか
グラッティテュード(Gratitude:感謝の意)では、地域のバリアフリー化と“こころのバリアフリー”の理解を地域に促すことで、障がい者の外出を促進し、誰もが住みよい街づくりを目指して様々な活動を行っています。
加藤代表が団体の概要や活動内容について説明し、そのあと、グラッティテュードの活動を支援する皆さんも懇談に参加して、これまでの取組みや課題などについて、熱心に話合いました。
懇談の様子
加藤代表から説明
グラッティテュードを支援する方々からもご参加いただきました
皆さんと一緒に
私は21歳の時、筋ジストロフィーという難病を患い、現在車いす生活を送っております。車いす生活となり、それまで気付かなかった社会的制約やバリアに直面し、これらの課題と問題を解決するため、「ひとりのハートが世界を変えられる。」を理念に仲間とともにグラッティテュードを立上げました。心のバリアフリー推進プロジェクトとして、地域のバリアフリーに対する理解を深め、バリアフリー情報を発信し、山形県の地域活性化と誰もが住みよい社会を目指して活動しています。
日本には約200万人の車いすユーザーがいますが、実は、この数は、苗字の「佐藤さん」よりも多く、「佐藤さん」とは1日に数名すれ違うと思いますが、それよりも多い車いすの方と街中で会う機会はほとんどないと思います。このことから、車いすユーザーがひきこもりがちで外出していないということがわかります。また、山形県では障害者手帳を持っている方が約5万5千人、そのうち肢体障がい者は約3万1千人ですから、約20人に1人が何らかの障がいをお持ちで、約35人に1人が肢体障がい者でと考えると、障がいは意外と身近なものと考えられます。
障がいをお持ちの方が少しでも生活しやすいように、バリアフリーの設備は色々な場面で設置されていますが、ある人にとっては使いやすい設備でも、ある人には使いにくいという状況があります。また、設備を整えるには、沢山の費用や時間がかかり、すべてをカバーすることは難しいといえます。私たちに個性があるように、障がいは人によって症状も様々で十人十色ですので、設備(ハード)だけの完璧なバリアフリーは存在しません。障がいを持つことで、外に出ることへの不安な気持ちが要因となり自宅に引きこもりがちになる方は少なくありません。高齢者も同じ傾向にあります。
こうした課題を解決するため、私達は、外出促進事業として、実際に店舗や旅館等を取材して、店内の「ハードなバリアをハートで解消」する、という店舗側の意思を、店内の写真や詳細な数値とともに専用サイトに公開しています。店舗側の“心のバリアフリー”によって、高齢者や障がい者が外出する可能性が増えるひとつの例です。本日ご参加いただいている皆様の施設の情報も掲載しています。
そうした方々がもっと外に、街に出掛けることができればより充実した生活を送ることができ、様々なお店を利用することで新しい経済効果が生まれるとともに、店舗側にも新しいニーズとサービスが生まれ、地域経済の活性化に繋がると考えます。
こうした活動のほかに、ブルーペイント大作戦と題し、店舗等の障がい者等用駐車区画の青色ペインティング活動も行っております。市民の皆さんと一緒に、昨年は、3か所で開催し、約40名のご参加をいただきました。
また、バリアフリーのセミナーなども開催しています。私自身の体験を多くの方に伝え、バリアフリーの理解促進と、さらに、車いすの疑似体験会などを通して、利用者側とアシスト側の両方を体験し、より理解が深まり、さらにアシスト方法も学んでいただくことで困っている方への手助けを促します。
こうした活動を通して健常者の皆さん、障がい者の皆さんがお互いの距離を縮め、コミュニケーションを取り合うことで“心のバリアフリー”が生まれます。この活動が広がれば、結果として地域全体のバリアフリー化が図られると考えます。
また、私達は、バリアフリーという新しい発想から、すべての人が楽しめるという「ユニバーサルツーリズム」や観光へつなげていきたいと思っています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も決まり、世界中から様々な障がいを持つ方が日本を訪れます。バリアフリー観光への関心は高まっており、山形県で“心のバリアフリー”が広まって、県全体で発信できれば、また、“バリアフリー”をおもてなしのひとつとして発信できればと思います。
このように、「サポートが必要な方」、「事業主」、「市民」の三者に対して相互にメリットが生まれる形でバリアフリーの理解を図りながら活動を進め、また、山形県の「みんなにやさしいまちづくり条例」をもっと県民に知ってもらえるように協力し、これからも色々な関係機関と連携させていただいて活動していきたいと思っています。
知事 活動をされていてどのようなことが課題となっていますか。
代表 車いすの疑似体験ですとか、バリアフリー講座や、外部の先生をお招きして講演会などもさせていただいていますが、私達の課題としまして、バリアフリー推進活動となるとどうしても関係者や福祉関係の方に限定されるところがあり、広く県民の皆さんに知っていただくには観光などの身近な部分をきっかけに知っていただくのが重要かと考えています。
知事 なるほどね。加藤代表も御自身が車いすということで、色々な経験をされていて、その体験を活かしておられてね…。
代表 ブルーペイントは、ここのえくぼプラザの地下駐車場や、小野川温泉登府屋旅館さん、あと、auショップ南陽さんでさせていただいています。来月は、南陽市の新文化会館の駐車区画のペイント活動を予定しています。
知事 生活しやすい環境づくりということでは、車いすだけでなく、若いママがベビーカーの移動で、町の中での段差やドアを開けたりなど大変だって聞いていて。この赤湯の商店街など、ここの広い通りなどはバリアフリーになっているんですよね。
代表 そこは比較的平らに整備されています。
知事 お店に入るところの段差はどうですか。
代表 もちろん、ハード面での設備もそうなんですが、例えば、段差が店の入り口にあったとしても、店側のちょっとしたアシストや声がけで私達は(段差を)乗り越えてお店を利用できます。今回取材のお店でも、完全なバリアフリーというわけでない部分も確かにありますが、私達の考えに御賛同いただいて、「車いすユーザーウエルカム」ですよ、という意思表示をしていただいて、入りやすい環境づくりをしていただいています。
知事 それは、お店にそのように書いてあるのですか。
代表 はい、店にも掲示させていただき、また、ホームページ上で細かな写真や、実際の数値などを掲載させていただき、わかりやすい案内にしています。
旅館 今回、当旅館で“要介護でも優しいバリアフリー旅館”に選ばれたのですが、飲食店さんでは入口を直すことなどで(車いすで)入れますが、旅館の場合は、(バリアフリーに)直すところが多すぎて、経営者側も怖いので来てくださいと言いづらい状況にあり、それで旅行に行けない、という現状があります。知事がおっしゃったように、赤ちゃんと一緒のお母さん、妊婦さん、あとは、車いすまではいかないけれど足が不自由な方など、実はバリアフリーの方が楽だというのは間違いなくて、そのあたりが全体的に進むといいですね。
知事 そうですね、公共施設、県や市町村の施設はバリアフリーになってきていると思いますが、ホテルや旅館、お店などはまだなのでしょうね。最近、少し増えてきたかなと思うんですけど、やっぱり具体的に直していく、それから“心のバリアフリー”、皆さんが支え合うという、そこは進めていければなと思います。
店舗 私どもの店舗ですと、ハード面の設備となると、持ち物件であればいいんですが賃貸となると、そこまで資金を掛けられるか、ということになります。バリアフリーのための設備をするといった時に、知られていないのが助成金や補助があることで、資金面で二の足を踏むということもあるかと思います。オリンピックの話が出ましたが、東京近辺だけでは宿泊施設が足りなくて、そこで南陽市まで新幹線で2時間半であれば、普通に滞在して頂いて、そのあとオリンピックに行くということも出来ると思います。外国の方はアクティブだからハンディキャップがあっても外出しますが、それを受け入れる施設がないとなると、せっかくのチャンスを逃すことになりかねないですね。(バリアフリー化の工事の)助成など周知して頂くと取り組みやすいと思いますね。
旅館 施設整備は、東京オリンピックの東京都だけでなく、他の県でもやり始めており、これが広まっていくといいなあと思っています。
知事 そうですね、個人の住宅ですと県では市町村と一緒になってリフォームなどの補助制度をやっていますが、需要は結構あるようですね。やっぱり、誰しもが高齢者になるのですし、自分のこととして考えて行かないとね。皆さんの“ハードのことをハートで解消”という言葉が、すごくいい言葉だな、と思っています。世界を変えたかったらまず自分を変える、自分が変われば世界を変えられる、というその言葉は、いい言葉だなぁと思っています。
店舗 自分の店では、これまでは車いすの方が来ることはなかったんですが、加藤代表と知り合って、初めてこういった活動をしている方が大勢いる事を知ったので、もっと広く色々なところと一緒になって連携して活動していったらいいと思います。
知事 そうですよね、連携が大事だなと思います。色んな地域でね、一緒にやっていって、それがさらに地域をネットワーク化できると思うし、地域で色々やれると思う。
知事 県では若者の活動を支援する事業を2年ぐらいやっていて、地域で活動を頑張る方に資金援助で支援をするということをやっていますが、(グラッティテュードがその事業に採択されて)それは役立っていますか。
代表 はい、大変役立っています。
知事 あぁそうですか、それはよかった。
代表 地域のバリアフリー推進プロジェクト事業を採択いただいて、私たちは1年間活動してきました。若者の活動では、自分たちの考えがあってもお金がなかったら活動に結び付くことも難しかったと思うので、県の補助は大変助かっています。自分たちの他にも、色んなアイデアを持った若者がたくさんいるので、今後も是非、事業継続して頂きたいです。
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