簡易専用水道の衛生確保について
簡易専用水道とは
- 市町村や水道企業団などの水道事業者から供給される水のみを水源とし・・・
- その水をいったん貯水槽に受けた後、建物の利用者に飲み水として供給される施設で・・・
- 貯水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるものをいいます。
貯水槽から先の部分が簡易専用水道です。
貯水槽の有効容量が10立方メートルを超えても、
- まったく飲み水として使用しない場合(工業用水、消防用水など)
- 地下水(井戸水)をくんで貯水槽に溜めている場合は、簡易専用水道ではありません。
ただし「専用水道」として規制を受ける場合がありますので、詳しくは保健所にお問い合せください。
<参考>水道法第3条(用語の定義)
貯水槽の有効容量とは
貯水槽の有効容量とは、最高水位と最低水位との間に貯留され、適正に利用可能な容量をいいます。
貯水槽を経由することなく直接受水する場合を除き、高置水槽の容量は有効容量に含みません。
正しい管理
簡易専用水道の設置者は、水道法令で定める基準に従って、その水道を管理することが義務付けられており、次の事項の管理を行ってください。
また、設置者自らが管理を行わない場合には、実際に管理を担当する人を決め、正しい管理を行わせてください(水道法第34条の2第1項)。
水槽(貯水槽・高置水槽)の掃除
- 年1回以上、定期的に行ってください。
- 掃除は、専門的な知識、技能を有する者に行わせるのが望ましいとされています。
水槽(貯水槽・高置水槽)の点検
- 水が有害物や汚水等によって汚染されることのないように、定期的に(月1回程度)点検を行ってください。
- その他、地震、凍結、大雨などがあった時もすみやかに行ってください。
- 点検等により欠陥を発見したときは、すみやかに改善措置を行ってください。
水質管理の実施
- 給水栓(蛇口)での水の色、濁り、臭い、味などについて、日ごろから点検してください。
- 異常があった時には、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して、必要な項目の検査を行って安全性を確認してください。
給水停止及び利用者への周知
供給する水が人の健康を害するおそれがあるとわかったときは、
- ただちに給水を停止し、
- その水を飲まないよう、利用者及び利用する可能性のある人に知らせなければなりません。
書類の整理
次のような書類を整備し、保存してください。
- 設備の配置、系統を明らかにした図面…永久保存
- 貯水槽の周囲の構造物の配置を明らかにした図面…永久保存
- 水槽の掃除の記録、水質検査の記録等の帳簿類…3年保存
定期検査
設置者の方は、毎年1回以上定期的に厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して、簡易専用水道の管理状況及び水質の検査を受けなければなりません(水道法第34条の2第2項)。
検査を怠った設置者は、罰則(百万円以下の罰金)が適用されることもありますので、注意してください(水道法第54条)。
検査の内容
厚生労働大臣の登録を受けた機関の検査員が、次の事項について検査します。
- 施設検査
貯水槽、高置水槽及びその周辺の管理状況を検査します。
- 水質検査
貯水槽及び給水栓の水について、臭気・味・色・色度・濁度及び残留塩素の有無を検査します。
- 書類検査
→水槽の掃除の記録等の有無を検査します。
検査結果は
検査結果、衛生上問題があると認められた場合には、検査機関の助言に従い、当該市町村に連絡するとともに、速やかに対策を講じてください。
また、検査終了後交付する検査結果報告書は、検査後3年間保存してください。
管理の方法
POINT1 貯水槽・高置水槽の点検
- 水槽の周辺は清潔で整理・整頓されていますか。
- 水槽にヒビ割れや水漏れはありませんか。
- 周囲に汚染の原因になるものは置いてありませんか。
- 水槽内に沈積物や浮遊物はありませんか。
- マンホールのふたは防水密閉型できちんと鍵がかかっていますか。
- マンホールの防水パッキンはいたんでいませんか。
- オーバーフロー管や通気管の防虫網はついていますか。
- オーバーフロー管や通気管の防虫網はいたんでいませんか。
POINT2 水質管理の実施
無色透明なガラス製のコップに給水栓から水を取り、肉眼で次の項目を検査してください。
「色」「濁り」「臭い」「味」に異常はありませんか。
異常があった場合、、その原因としては次のようなことが考えられます。
厚生労働大臣の登録を受けた検査機関などに、より詳しい検査を依頼してください。
- 色のついた水が出る
→赤い水…鉄製の水槽や鉄管の腐食
→青い水…銅製の水槽や鉄管の腐食
→白い水…空気(気泡)の混入、亜鉛メッキ銅管の腐食
- 濁りがある
→水槽が汚れている
- 臭いがある
→水槽が汚れている、水槽内に汚染物質が混入している
- 味がある
→水槽が汚れている、給水管等の腐食
POINT3 水槽の掃除
年に1回以上行う水槽の掃除は、水槽壁面の掃除や内部の消毒などを行うものですが、掃除の際には「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称:ビル管理法)」に基づいて知事の登録を受けた貯水槽清掃業者を活用することが望ましいとされています。
貯水槽清掃業者については、お住まいの市町村におたずねください。