更新日:2024年4月19日
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この度、最上保健所が医学生・看護学生向け情報発信のため、地域で在宅医療に取り組まれる方へインタビューさせていただきました。
本日は、新庄市内にあります土田医院の土田秀也院長に在宅医療に関してインタビューさせて頂きましたので、ご紹介します。
在宅医療は、患者さんの生活に非常に密着した状態でケアを行う医療体制です。そのため単に問診や治療を行うだけではなく、患者さんの表情をよく見て対話を重ねることが非常に重要なのだそうです。このようなコミュニケーションを通して、心身共に健康な状態を保つことができるよう支えることを土田院長は心がけているそうです。
(奥:土田秀也院長(土田医院院長、新庄市最上郡医師会長))
最上地域は県内で最も医師数が少なく、かつ医師の高齢化が目立ちつつある地域です。ですが、在宅医療に対するニーズは高まっています。
これに対し土田院長は、ネガティブな面ばかり目につくが、実際に在宅医療に取り組む身としてはマイナスな変化ばかりではないと感じているとおっしゃいました。なぜなら、在宅医療体制が以前よりも整備され、訪問看護師や訪問薬剤師といった様々な医療従事者の方と協力して患者さんをケアできるようになったからです。
また、在宅医療の魅力として、大きな病院よりもきめ細やかなケアができるところがよいのだそうです。さらに患者さんを家で看取ることができるというのも在宅医療の魅力だとおっしゃいました。患者さんもその家族も安心して一緒に最期の時を迎えることができるのだそうです。
在宅医療を受ける方には認知症を患う方も多いことから、土田院長は患者さんに接する際には“ユマニチュード”を重視しています。
ユマニチュードとは、見る、話す、触れるという行為による包括的コミュニケーションに基づいたケア技法のことです。このケア技法を活用し、患者さんの人となりをとらえながら接することを大切にしています。
最上地域に住んでいる認知症患者さんの中には、雨の日にもかかわらず田や畑の仕事に行ってしまう人がいるのだそうです。もしあなたがその人の家族で、その場面に出くわしたらどのような声を掛けますか。少し考えてみてください。あなたはその人を怒りますか?何も知らない人なら怒ってしまうのかもしれません。
しかし、そうした患者さんは長い間農作業に尽力し、雨の日だろうと仕事をしなければならない生活を過ごしてきています。その記憶が大切で強く残っているからこそ、その記憶に従い、雨の日でも外に出てしまうのです。そういったことを知っていれば、患者さんの記憶を尊重した接し方をすることができます。つまり、患者さんの人生の背景を考え、その人の気持ちや感情をくみ取ることが大切なのです。土田院長は、このようなことがユマニチュードの基礎だと教えてくださいました。
身内に認知症患者を持つ私にとって土田院長のお言葉は、大変心に刺さるものでした。土田院長とのお話から学んだことを忘れず、大切にしていきたいと考えています。
在宅医療に興味関心をお持ちの医学生や看護学生の方は、ぜひこの最上の地でインターンシップや研修をご経験いただきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。
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