更新日:2024年2月27日
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検査の記録集計システム
検査結果を記録するために記録補助者を配置しています。構内無線を使用し、と畜場内の検査員全員が頭部に装着した通信用インカムを通して、検査所内に待機しているオペレータに検査内容をリアルタイムで送信するという方法をとっています。
1頭毎に記録された検査結果を専用の集計処理システムで統計処理し、そのデータを月毎に集計後、疾病動向として各農場にお知らせしています。農場にとって疾病の発生状況を知ることは、飼養状況を改善する上で貴重な情報となります。
【豚】
豚は一度に子豚が10頭ほど生まれ、生まれた直後の体重は1.3kg、約6か月間育てられて110~115kgくらいになると出荷されます。
【牛】
高級牛肉として人気の高い黒毛和種のうち去勢牛では、30か月齢(2歳半)、体重は720kgで出荷されます。牛の品種によって発育の速さに差があり、ホルスタインの去勢牛は21か月齢くらいで出荷されます。
家畜の病気は細菌、ウイルスなどの病原微生物により引き起こされるものが多数を占め、肉眼所見で見つかった病変部位を検査室内で培養などの方法で検索し、病名を決定します。
顕微鏡下の細菌像
左から、豚丹毒菌/サルモネラ属菌
<PCR検査>
病原体の探索にその微生物が有するDNAを検出するという方法が用いられ、より正確な検査ができるようになりました。これはPCR検査といい、食肉衛生検査の分野では、腸管出血性大腸菌O-157、サルモネラ属菌、豚丹毒菌、炭疽菌、E型肝炎ウイルス,牛伝染性リンパ腫ウイルスなどの検査に用いられています。
血液などを検体として、ビリルビン値、尿素窒素量などを測定し、黄疸や尿毒症の診断を行います。
食肉中への動物用医薬品(抗生物質や駆虫薬など)の残留の有無を監視するためにモニタリング検査を実施しています。高速液体クロマトグラフィーにより、ppm(100万分の1)単位の微量な物質を測定します。
食品衛生法に基づく収去検査において、当施設ではGLPに基づく精度管理を実施し、検査精度には万全の体制をとっています。さらに、検査結果の信頼性を確保するために、第三者機関による外部精度管理調査を受けています。
※GLP:(Good Laboratory Practice) 山形県食品衛生検査施設業務管理要領により規定されている。
↑HPLC(High Performance Liquid Chromatography)高速液体クロマトグラフィー
腫瘍や腫瘤物などの診断では、病理組織検査を行います。
病変部位の薄切片を作製し特殊な染色を施した後、顕微鏡を用いて異常の有無や細胞の形態を観察します。
病理組織検査では、主に全身性腫瘍や牛伝染性リンパ腫の鑑別・診断を行っています。
↑豚の抗酸菌症の病理組織所見(H.E.染色)
豚の腸間膜リンパ節、壊死巣内に認められた多核巨細胞の集簇。<原図 動衛研>
TSE(伝達性海綿状脳症)は、脳内に異常プリオンたんぱく質が蓄積することで発症する神経性の病気で、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされています。
平成13年9月、国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)の発生を確認しました。その後、検査対象の見直しが行われ、平成29年4月1日からは、めん羊・山羊及び24か月齢以上の牛のうち生体検査において原因不明の神経症状等があり、疾病鑑別の観点から検査が必要と判断された場合については、TSE検査を行うことと改正されました。
さらに、異常プリオンたんぱく質の蓄積しやすい部位(特定危険部位)については、確実な除去と処分が行われるよう監視指導に取り組んでいます。
と畜場法及びと畜場法施行規則の改正により、令和2年6月1日からと畜場の設置者等に対し、と畜検査員による外部検証の実施が新たに導入されました。
外部検証とは、と畜検査員が、と畜場の設置者等が作成した衛生管理計画や手順書の確認、衛生管理の実施状況の確認を行うものです。
衛生管理計画及び手順書が、と畜場の衛生管理の各基準に基づき、と畜場の実際の構造設備やとさつ・解体工程を考慮して作成され、最新の状況を踏まえて適切に維持・更新がされているか確認します。
と畜場の衛生管理及びと畜業者等が講ずべき衛生措置が、衛生管理計画及び手順書に従い適切に実施・記録されていることを確認します。記録検査については、月1回以上、現場検査については、作業開始前と作業中の2回の検査を原則として毎日実施しています。
と畜場における衛生管理の実施状況の効果を客観的に評価するため、衛生指標菌を対象とした微生物試験を行い、枝肉表面1cm2あたり何個の菌がいるかを調べます。
衛生指標菌は、汚染度合いの指標として一般細菌数を、腸管内容物による枝肉の汚染の指標として腸内細菌科菌群数を調べています。
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